出っ歯の矯正は痛い?原因と対策を解説

「出っ歯を矯正したいけど痛みがあるのは嫌だな」そう思っていませんか?

出っ歯矯正中の痛みには、歯の移動による痛みや矯正器具による痛みなどさまざまです。

しかし、常に痛みに耐えなくてならないわけではありません。

一般的には、痛みは矯正装置をつけたばかりや、調整後に一時的に起こるもので、次第に和らいできます。

もし、一時的な痛みに耐えられない場合でも、痛み止めの服用や矯正用ワックスの使用によって痛みを軽減することができるでしょう。

矯正中の痛みを不安に思い、出っ歯を放置すると虫歯や歯周病のリスクが上がったり、前歯をぶつけやすくなったりします。

そこで本記事では、以下の内容について解説します。

  • 矯正中に痛みを感じる原因
  • 出っ歯矯正の痛みを軽減させる方法
  • 出っ歯の矯正をしないとどうなる?

出っ歯矯正中に痛みについて不安に思っている方は、ぜひ参考にしてください。

出っ歯の矯正は痛い?

出っ歯の矯正では、歯の移動が原因の痛みや矯正器具による痛み、口内炎からくる痛みなど、さまざまな要因から痛みを感じる場合があります。

特に、矯正器具をつけた直後や、矯正装置の調整後に痛みを感じる場合が多く、歯と歯が触れるだけでも痛みを感じる方もいます。

しかし、痛みの感じ方には個人差があります。

歯の移動量が少ない方や年齢が若い方、歯根の形が正常な方は痛みを感じにくい傾向があるでしょう。

矯正中に痛みを感じる原因

矯正中に痛みを感じる原因は以下の4つです。

  • 歯の移動による痛み
  • 矯正器具による痛み
  • 口内炎による痛み
  • 歯ぎしりや食いしばりによる痛み

順番に説明します。

歯の移動による痛み

歯列矯正中は、移動しようとする歯の周囲で神経や血管が圧迫され、炎症反応が起こることで痛みが生じます。

一般的に、痛みのピークは2〜3日で、長くても1週間程度で落ち着いてくるでしょう。

痛みの程度には個人差があり、常時痛い方、食べ物を食べるとうずくように痛い方もいます。

矯正器具による痛み

歯を移動させるためには、矯正器具を使って歯に一定の圧力をかけます。

例えば、ワイヤー矯正では1本1本の歯にマルチブラケットとよばれる矯正器具を装着して、そこにワイヤーをかけて歯を動かします。

特に、矯正装置をつけた直後や調整した際に1番圧力がかかり、締め付け感や圧迫感を強く感じる方も少なくありません。

また、マウスピース矯正では細かい段階を踏んで歯を移動させるため、ワイヤー矯正よりも圧力はかからず、痛みが少ないといわれています。

しかし、人によっては痛みを感じるほどの締め付け感や圧迫感を感じる方もいるようです。

口内炎による痛み

ワイヤー矯正ではマルチブラケット、ワイヤー、結紮線(けっさつせん)などさまざまな器具を歯に装着します。

それらの器具が口腔内の粘膜に当たったり、こすれたりすると口内炎になることがあります。

矯正器具によって頻繁に口内炎ができる方は、あらかじめ歯科医師に相談しておくことをおすすめします。

矯正器具を保護して摩擦を和らげるものを用意してくれるでしょう。

歯ぎしりや食いしばりによる痛み

歯列矯正によって圧力がかかっている歯は通常よりも敏感になっています。

移動しようとしている歯に対して、食べ物を噛んだり上下の歯が当たったりする衝撃が加わると、痛みが強く感じる場合があります。

特に、矯正器具をつけたばかりや、調整直後に硬いものを噛むと、強く痛みを感じることが多いです。

食事ができないほどの痛みを感じる場合は、やわらかいものを食べるよう心掛けるとよいでしょう。

痛み加減の要因

痛み加減の要因には以下の6つがあります。

  • 歯の移動量
  • 歯根の形
  • 歯周組織の状態
  • 年齢
  • 痛みへの体制
  • ストレス、ホルモンバランス

順番に説明します。

歯の移動量

出っ歯を矯正する際、主にワイヤー矯正やマウスピース矯正が用いられます。

一般的に、細かい段階を踏んで少しずつ歯を動かすマウスピース矯正の方が、痛みが少ないといわれています。

しかし、歯の移動量が多い重度の出っ歯では、マウスピース矯正は適応しません。

なぜなら、マウスピース矯正では大きく歯を動かすことができないからです。

そのため、歯の移動量が多い重度の出っ歯はワイヤー矯正を選択する必要があり、痛みが強くなる傾向があるでしょう。

歯根の形

歯根の形はすべての人が同じ形や太さではありません。

なかには歯根が曲がっている状態や、通常よりも長い状態の歯根もあります。

それらの歯は、歯を支えている骨や歯根膜といった組織が強固に結びついている可能性があり、歯を移動させる際に大きな圧力を必要とします。

そのため、真っすぐで通常の長さの歯根に比べて、痛みを強く感じる場合があるでしょう。

歯周組織の状態

ワイヤー矯正では矯正装置の取り外しができないため、歯ブラシが細かいところまで届きにくく、プラークが多く残ってしまいます。

プラークの中に存在している細菌が、毒素を出すことで歯茎が炎症を起こします。

歯茎の炎症は、歯茎の腫れや出血、痛みなどの症状を引き起こすことが特徴です。

歯を動かすための圧力や締め付け感に加え、歯茎の腫れや痛みが加わると、より痛みを強く感じる場合があるでしょう。

年齢

年齢を重ねてから歯列矯正をする方が、若いときに歯列矯正するよりも痛みが強くなる傾向にあります。

なぜなら、年齢を重ねると骨が硬くなり、歯周組織の代謝が悪くなるからです。

歯は一定方向に弱い力を加え続けることで、歯を支える骨や歯周組織の代謝を促進し、歯を動かします。

年齢を重ねて骨が硬くなった状態や、歯周組織の代謝が悪くなった状態で歯を動かそうとすると、大きな圧力が必要となり痛みが強くなるでしょう。

痛みへの耐性

痛みの感じ方は個人差があります。

日頃から痛みに敏感な方は、歯列矯正中でも痛みを強く感じる可能性があります。

しかし、歯列矯正が進むにつれて痛みへの耐性がつき、歯の移動も緩やかになるため痛みの感じ方は弱くなる方が多いです。

日頃から痛みに敏感な方は歯科医師に相談し、あらかじめ痛み止めや矯正用ワックスの準備をしておくとよいでしょう。

ストレス、ホルモンバランス

人は、ストレスを感じたり、ホルモンバランスが崩れると痛みを感じやすいです。

例えば、ストレスを感じると、ノルアドレナリンという物質が分泌されて、痛みを感じる神経を刺激します。

また、生理前にはプロスタグランジンというホルモン物質が分泌されて、痛みを誘発します。

そのため、ストレスや生理前のホルモンバランスの乱れが原因で、痛みを強く感じる場合があるかもしれません。

出っ歯矯正の痛みを軽減させる方法

出っ歯矯正の痛みを軽減させる方法は以下の3つです。

  • 痛み止めの使用
  • やわらかい食事にする
  • 矯正用ワックスの使用

順番に説明します。

痛み止めの使用

歯列矯正中に日常生活に支障をきたすほどの痛みがある場合は、痛み止めを服用してもよいでしょう。

例えば、夜眠れないことや、仕事に集中できないほどの痛みがある場合です。

ただし、服用の際には歯科医師に相談し、長期間の服用は避けた方が良いでしょう。

柔らかい食事にする

歯列矯正中は、歯に少しの刺激が加わるだけでも、痛みを感じる場合があります。

そのため、ご飯粒を噛むことも困難になる場合もあるかもしれません。

どうしても食事が難しい場合には、柔らかい食事にすると食事へのストレスを軽減できるでしょう。

例として、おかゆやスープ、豆腐、うどんなどが良いでしょう。

矯正用ワックスの使用

ワイヤー矯正では、矯正装置が口腔内の粘膜にあたることで、大きな傷になる場合があります。

その場合、矯正歯科でもらえる矯正用ワックスを矯正装置につけると痛みが軽減される場合が多いです。

しかし、矯正用ワックスをうまくつけられない場合や、つけても改善されない場合にはすぐに矯正歯科で相談して対処してもらいしましょう。

出っ歯の矯正をしないとどうなる?

出っ歯の矯正をしないと、以下のような問題があります。

  • 見た目のコンプレックスを抱く
  • 虫歯や歯周病のリスクが上がる
  • 口腔内乾燥になる
  • 奥歯の寿命が縮まる
  • 滑舌が悪くなる
  • 顎関節症のリスクが上がる
  • 頭痛や肩こりなど全身への影響
  • 前歯をぶつけやすい

これらのリスクを考慮すると、出っ歯の状態を放置することは避け、早期に専門医の診断を受けることが重要です。

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まとめ

出っ歯を治したいと思っていても、歯列矯正中の痛みが心配で1歩が踏み出せなかった方もいるのではないでしょうか。

出っ歯の歯列矯正では、歯を移動させるために圧力をかけるため、痛みを感じる場合があります。

しかし、痛みの感じ方には個人差があり、歯周組織や年齢、痛みの耐性によっても変わってくるでしょう。

また、歯列矯正中は常に痛みがあるわけではありません。

多くは矯正装置をつけたばかりや、調整した直後に痛み、2〜3日程度で和らいできます。

もし、痛みが強い場合には痛み止めの服用や、矯正用ワックスを使用するなどの対策もあるため、心配しすぎなくても良いでしょう。

痛みへの不安から出っ歯を放置すると、虫歯や歯周病のリスクが上がったり、滑舌が悪くなったりするなどのリスクもあるため注意が必要です。

見た目だけでなく、さまざまなデメリットがある出っ歯を改善するためにも、ぜひ一度矯正歯科で相談してみてはいかがでしょうか。

 

野澤修一

コラム監修者

はぴねす歯科・矯正歯科 石橋駅前クリニック 総院長 野澤 修一
福岡歯科大学を卒業後、福岡県・大阪府・兵庫県の歯科医院にて14年間勤務。その後、2014年9月に「はぴねす歯科石橋駅前クリニック(大阪府池田市)」、2018年6月に「緑地公園駅前クリニック(大阪府府中市)」、2020年7月に「川西能勢口駅前クリニック(兵庫県川西市)」、2022年11月に「尼崎駅前クリニック(兵庫県尼崎市)」を開院。現在は医療法人はぴねすの理事長として4医院を運営。