公開日:2022年10月8日
歯周病は成人の80%が感染しており、若い人でも歯周病に罹患している方が増えています。歯周病は歯周病菌による細菌感染が原因ですが、では歯周病はどのようにして感染するのでしょうか。今回は歯周病の感染の原因と予防についてお話をいたします。
歯を支える歯槽骨が溶けて歯がグラグラになってしまう歯周病は、かつては歯槽膿漏と呼ばれ、40代以降の中高年層以降に発症する病気と思われていました。
ところが歯周病と呼ばれるようになった今、中高年層だけでなく若い人の罹患が増えており、「おじいさんおばあさんがなる歯槽膿漏」とは言えなくなっています。そのため若い人は虫歯、中高年は歯周病、という安易な考えは取り除かなくてはいけません。
では歯周病はどのようにして罹患するのでしょうか。
歯周病は、歯周病菌が原因で発症する細菌感染のひとつです。歯周病菌がお口の中に存在すると、磨き残しによって付着するプラークの中に潜んで毒素を出し、歯ぐきに炎症を起こします。
歯ぐきだけに炎症が起こるのは歯肉炎ですが、歯肉炎が悪化し、歯槽骨の吸収が始まると歯周炎、つまり「歯周病」と診断されます。
歯周病の発症にはひとつの菌だけでなく、複数の菌によって引き起こされると言われており、その中でも「ポルフィノモナス・ジンジバリス」「トレポネーマ・ディンティコーラ」「タンネレラ・フォーサイセンシス」という3つの細菌が見られます。
ポルフィノモナス・ジンジバリスは歯周組織を破壊したり、認知症や心臓病、関節リウマチなどにも関与している菌と言われています。
またトレポネーマ・ディンティコーラは歯周ポケットが深くなると爆発的に増殖し、歯がなくなるまで棲みつくと言われている恐ろしい菌です。このようなことを見るだけでも、歯周病菌はとても怖いものだと思えるのではないでしょうか。
歯肉炎も歯周炎も磨き残しによって起こる歯ぐきの炎症ですが、歯周病の一つの目安である歯周ポケットと呼ばれる歯と歯ぐきの境目の溝が深くなると、一気に歯周病が悪化しやすくなります。
虫歯菌と同じように、生まれたばかりの赤ちゃんのお口の中には歯周病菌は存在しません。では歯周病菌はどのようにして感染するのでしょうか。それは主に「唾液」からの感染です。スプーンやお箸などを共有する親子間での感染などが挙げられます。またキスでも感染すると言われており、夫婦間や恋人同士でも歯周病の感染のリスクを持ち合わせています。その他にも犬や猫、鳥といったペットからも感染すると報告がされており、歯周病菌はとても近いところに感染源があると考えられます。
ただ風邪やインフルエンザのように、くしゃみや咳など空気感染することはないと言われています。あくまでも唾液を介した感染経路で歯周病菌が棲みついてしまいますので、日常生活の中でどれだけ感染拡大を防ぐということが大切になってきます。
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では歯周病菌がお口の中に棲みついてしまうと必ず歯周病が発症してしまうのかというと、必ずしも発症するとは限りません。感染経路は常に持ち合わせているということであり、発症するのは個人の口腔内の環境と共に、その人が持つ「免疫力」にも深く関わるのです。
免疫力は体の健康を維持するためにとても重要です。体の免疫力が落ちていると病気になりやすいだけでなく、歯周病が発症しやすくなってしまいます。よく疲れているときに歯ぐきが腫れたり出血してしまうことがありますが、これは免疫力が低下して歯周病菌の力が強くなっているからなのです。
免疫力の低下は睡眠不足やストレス、喫煙などが原因です。また加齢とともに免疫力は低下する傾向にあり、歯周病の発症リスクとより比例してしまいます。
規則正しい生活を送り、免疫力を高めておくことは体の健康維持だけでなく、歯周病の予防にとっても非常に重要なのです。
歯周病は虫歯同様とても身近なお口のトラブルです。
また歯周病は、糖尿病や脳梗塞などの全身疾患にも深く関わりがあると言われているため、歯周病の発症の予防および悪化をさせないことを心がける必要があります。
毎日の丁寧な歯磨きは、歯周病予防の基本です。
磨いているのと磨けているのでは大きな違いがあるため、正しい歯磨きをマスターしましょう。磨けているかどうか不安な方は、かかりつけの歯科医院で歯磨き指導を受けてみると良いでしょう。
毎日の歯磨きだけでは落としきれないプラークや歯石を取り除くためには、歯科医院での定期的なクリーニングが欠かせません。
専用の道具を使ってプラークや歯石を取り除くことでお口の中の細菌活動を弱めることができます。
免疫力が落ちると歯周病菌の活動が活発になり歯周病が発症する、また症状が悪化するといったことに繋がります。歯周病菌の活動を抑えるためにもストレスを溜めない、十分な睡眠時間を確保するなど規則正しい生活習慣を送るように心がけましょう。
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