公開日:2021年11月22日
「歯周病は自分の歯が抜けてしまうけど、インプラントを入れている部分の歯は抜けることがない」そう思っておられる方はいませんか?歯周病はお口全体に広がる歯ぐきの炎症で、最悪の場合歯が抜けてしまいますが、インプラントを入れている周りにも、インプラント周囲炎という歯周病に似た症状が起こります。
今回は、歯周病とインプラント周囲炎についてお話を致します。
歯周病は、歯周病菌によって歯と歯を支える歯周組織に炎症が起きる感染症で、成人の方の大半にみられます。歯を支える歯周組織とは歯の機能を維持するための組織のことで、歯ぐき、歯の根の周囲にある歯根膜という薄い膜、セメント質そして歯を支える歯槽骨を言います。
歯周病になると、歯周病菌が出す毒素により歯周組織が炎症を起こします。歯周組織に炎症が起きると歯ぐきの腫れや出血といった症状が起こります。さらに症状が進むと炎症が歯の根の周囲に広がり、さらには歯を支える歯槽骨にまで起こってしまいます。
その結果歯を支えることが困難になり、歯がグラグラになって抜けてしまいます。
ではインプラントが入っている部分はどうでしょうか。インプラントは、失った歯の部分にインプラント体を埋め込み、歯槽骨と結合させて人工歯根の役目を担います。その上にセラミッククラウンなどの被せ物を被せ、嚙む機能を取り戻します。
インプラント体は、天然歯の根の役目を担いますが、決定的な違いはインプラント体には歯根膜やセメント質といった組織が存在しないことです。ではこの組織が存在しなければ、歯周病の影響を受けないのでしょうか。
それは大きな間違いです。インプラント体は、オッセオインテグレーションという現象を利用して、インプラント体と顎の骨を結合させます。インプラント体のほとんどは純チタンまたはチタン合金から作られており、チタンの持つ特徴を生かして顎の骨と結合させます。
ところが歯周病によって顎の骨が吸収されると、インプラント体を支えることができなくなり、インプラントがグラグラしてしまいます。そして歯周病がさらに悪化すると、最悪の場合インプラント体が抜け落ちてしまいます。これをインプラント周囲炎といい、歯周病が原因で起こってしまいます。
ではインプラント周囲炎について、もう少し詳しくお話をしていきましょう。
インプラント周囲炎とは、歯周病菌によってインプラント周囲に炎症が起きる病気です。お口の中の清掃状態が悪く、口腔内の環境が良くないことで引き起こされます。主な症状は歯周病と同じく歯ぐきの腫れと出血で、歯周病とほぼ同じ症状が起こります。
ただ天然歯の周囲に起きる歯周病と比べると、大きな違いがあります。それはインプラント周囲炎は急速に症状が悪化するということです。その原因として、歯根膜やセメント質といった組織がインプラント体には存在しないことが挙げられます。
一般的な歯周病の場合、歯ぐきの炎症から始まり、次に歯根膜そして歯槽骨へと少しずつ症状が広がります。
ところがインプラント周囲炎の場合、歯ぐきの炎症から直接歯槽骨へと症状が進みます。これは歯根膜などがないためであり、一気に症状の悪化を招いてしまうのです。
インプラント周囲炎が起こると歯周病と同じで、インプラントがだんだんぐらぐらし始めます。そして最後にはインプラント体が抜け落ちてしまいます。
「インプラントが脱落したら、また入れなおせばいいのではないか」と思うかもしれませんが、歯周病菌によってインプラント周囲炎が起きた場合、インプラントを支える歯槽骨が吸収されてしまっているため、再びインプラント体を支えることができません。そのためインプラント周囲炎によってインプラント体が脱落してしまった場合、選択肢はブリッジまたは入れ歯になってしまうのです。
高い費用を出してインプラント治療を行ったのに、インプラント周囲炎によってインプラントが抜け落ちてしまうほど虚しいことはないでしょうか。
せっかく高い費用を出して治療をしたインプラントが、インプラント周囲炎によって抜け落ちてしまうと、インプラントによる再治療が不可能になります。
インプラント周囲炎を防ぐためには、定期的なメンテナンスや定期検診が欠かせません。特に虫歯ではなく歯周病によって歯を失った方はインプラント周囲炎になるリスクが非常に高いと考えられます。また他の天然歯も歯周病の悪化を招きかねません。
歯の健康を維持するためには、お口の中の状態を清潔に保つことがいちばんの予防策です。毎日の丁寧なセルフケアはもちろん、歯科医院での定期検診を必ず受けることが歯周病やインプラント周囲炎を予防する唯一の対策です。
インプラント治療をインプラント専門の医院で行った方でも、かかりつけの医院でクリーニングを行うことは可能です。完全に落としきれない汚れやプラークなどをきれいに落とし、お口の中の状態を清潔に保つことが歯周病やインプラント周囲炎を防ぐことになりますので、必ず定期検診は受診するようにしましょう。
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