公開日:2021年1月26日
以前矯正した前歯が、また乱れ始めた・・・原因は?

昔、矯正治療をしていた歯並びが、最近になってまた気になり始めた・・・。
矯正治療の経験のある方にとって、これは少なからず起きてしまうことがあります。
では以前矯正治療をしたはずの歯列がまた乱れ始めたのは、どのような理由が考えられるのでしょうか。
歯は戻ろうとする性質があります
矯正装置によって力を加えることで、歯は動きます。矯正装置がなくても、指で歯を押すとわずかに動くことをご存じでしょうか?これは歯の組織の中にある歯根膜の性質が関係しています。また歯がない部分をそのままにしておくと、両隣の歯が傾斜してくる、あるいは噛み合う歯がないために対合の歯が伸び、噛み合わせが狂うなど、歯は常に動き続ける性質があります。
乱れた歯列や不正咬合を改善するために矯正治療を行った直後は、特に歯が元の位置に戻ろうとします。
またマウスピース矯正の場合、食事や歯磨きのときに取り外すことができるため、日常生活を送りやすい反面、長時間マウスピースを外していると、その間にも歯は元に戻ろうとします。そのため次にマウスピースをはめたとき、締め付け感や違和感、痛みなどを感じることがあります。
このように、歯は元の位置に戻ろうとする性質があるのです。
矯正治療後に歯並びが元に戻る原因とは?
まず考えられる第一の理由が、リテーナーをつけている時間や期間が短かったことが挙げられます。矯正治療を終えると、そこで終わり!ではありません。整えた歯並びと噛み合わせをキープするための「保定期間」がとても大切となります。一般的にリテーナーは、矯正治療と同じ期間、あるいはそれ以上付けておくひつようがあります。先生によっては、リテーナーは一生必要、と言われることもあるそうです。それほど、矯正治療後は後戻りしやすいのです。
もうひとつの理由として、抜歯をしたほうが良いと言われているケースにもかかわらず、無理に非抜歯で歯並びを整たケースです。歯並びが乱れる主な原因は、永久歯が並ぶためのスペース不足だと言われています。この状態で歯列矯正を行っても、数年後にまた歯並びが乱れてくるケースは少なくないようで、再度矯正治療を希望する方もいらっしゃいます。
親知らずがあることも、矯正後の歯並びに影響することがあります。特に親知らずが横向けに横たわっている「水平埋伏」という状態の親知らずの場合、隣の歯の根を押してしまうことで歯並びに影響が出てしまうことがあります。
後戻りをしてしまったら再度矯正も可能ですが・・・
基本的に、矯正治療後はリテーナーが欠かせません。リテーナーはマウスピースタイプのものやピンク色の取り外し式のもの、歯の裏側にワイヤーを付けて固定するものなどがありますが、いずれの方法にしても、リテーナーを付けていることで後戻りを防ぐことができます。
もし後戻りが起きたら、再度矯正治療ももちろん可能です。しかし、せっかく費用と期間をかけて矯正治療を行ったのに、後戻りするのは非常に勿体ないことです。
後戻りが起きてしまわないよう、リテーナーはしっかりと付けておきましょう。
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コラム監修者医療法人はぴねす 理事長 野澤修一
福岡歯科大学を卒業後、福岡県・大阪府・兵庫県の歯科医院にて14年間勤務。その後、2014年9月に「はぴねす歯科石橋駅前クリニック(大阪府池田市)」、2018年6月に「緑地公園駅前クリニック(大阪府府中市)」、2020年7月に「川西能勢口駅前クリニック(兵庫県川西市)」を開院。現在は医療法人じはぴねすの理事長として3医院を運営。