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ハピネスcolumn

公開日:2024年12月26日

非抜歯矯正で出っ歯は治せる?治療できるケースを紹介

「出っ歯を治したいけど歯は抜きたくない」と思っていませんか?

一般的に歯列矯正を行う際には、歯が並ぶ空間をつくるために歯を抜くことが多いです。

しかし、健康な歯を抜歯することに抵抗がある人は多く、あと一歩が踏み出せない方もいるのではないでしょうか。

抜歯以外の方法で歯が綺麗に並ぶ空間をつくることができれば、非抜歯矯正をすることが可能です。

健康な歯を残せる点はメリットですが、すべての症例に適応するわけではありません。

そこで本記事では以下の内容について解説します。

  • 非抜歯矯正で出っ歯を治せる?
  • 非抜歯矯正で出っ歯を治療できるケースとできないケース
  • 非抜歯矯正のメリットとデメリット
  • 非抜歯矯正で歯を移動させるスペースを作る方法

非抜歯矯正について詳しく知りたい方は、ぜひ参考にしてください。

非抜歯矯正で出っ歯を治せる?

非抜歯矯正とは、歯を抜かずに行う歯列矯正のことをいいます。

抜歯以外の方法で歯が綺麗に並ぶ空間をつくることができれば、抜歯をせずに出っ歯の矯正が可能です。

一般的に出っ歯の矯正は、前に突出している歯を後方へ動かす際、歯が綺麗に並ぶ空間をつくるために歯を抜く場合が多いです。

矯正歯科で検査を行い、歯を抜く以外の方法で歯が綺麗に並ぶ空間をつくることが可能と判断されれば、抜歯をせずに出っ歯を治せる可能性が高いでしょう。

非抜歯矯正で出っ歯を治療できるケース

非抜歯矯正で出っ歯を治療できるケースは、以下の2つです。

  • IPRで歯の移動スペースを作れる
  • 歯を後ろに動かして移動スペースを作れる

それぞれ説明します。

IPRで歯の移動スペースを作れる

IPRとは歯の側面を薄く削り、歯のスペースをつくる方法をいいます。

健康な歯を削ることに対して不安に思う方も多いでしょう。

ですがIPRでは0.1㎜単位で少しずつ削る方法のため、痛みや虫歯などのリスクは抑えられます。

IPRで削るのは1カ所につき最大0.5㎜程で、奥歯まで削ると合計で4〜6㎜程度の歯の移動スペースをつくれます。

しかし、歯列の状態によっては、それだけのスペースでは足りない場合もあるでしょう。

IPRだけで必要なスペースをつくれない場合は抜歯が必要となります。

歯を後ろに動かして移動スペースを作れる

奥歯を1本ずつ後ろに移動させてスペースをつくる、遠心移動とよばれる方法もあります。

移動できる幅は顎の骨の状態によって異なり、奥歯の後方に歯を支える骨が何㎜あるかによって決まります。

一般的に、左右合わせて約3㎜の移動スペースをつくることができるでしょう。

移動スペースが何㎜あるかは、矯正歯科で精密検査を行うとわかります。

非抜歯矯正で出っ歯を治療できないケース

非抜歯矯正で出っ歯を治療できないケースは以下の3つです。

  • 歯を動かす移動スペースがない
  • 噛み合わせが大きくずれている
  • 口元が突出している

それぞれ説明します。

歯を動かす移動スペースがない

非抜歯で出っ歯を矯正するためには、IPRや遠心移動などで歯が並ぶスペースをつくらなければなりません。

しかし、歯に対して顎が小さい場合や前歯が大きく前に突出する症例は、IPRや遠心移動では十分なスペースをつくれないのです。

その場合、抜歯を選択することもあるでしょう。

スペースが不足しているにも関わらず無理に非抜歯矯正を行うと、噛み合わせが悪くなったり入りきらない前歯が前に突出したりする可能性があります。

噛み合わせが大きくずれている

噛み合わせが大きくずれている場合は、抜歯をするケースが多いです。

また、噛み合わせに問題がある症例では、顎の骨がずれている場合があるため外科的な手術が必要になる場合があるでしょう。

口元が突出している

口元が大きく突出している出っ歯は、前歯を後ろに移動させることで口元の突出感が改善します。

口元を大きく後ろに移動させるためには多くの空間が必要で、非抜歯矯正には適応しない可能性があります。

その場合は、抜歯により空間をつくらなければなりません。

非抜歯矯正のメリット

非抜歯矯正のメリットは以下の3つです。

  • 健康な歯を残せる
  • 治療期間が短い
  • 心理的負担が軽減される

それぞれ説明します。

健康な歯を残せる

非抜歯矯正では、IPRや遠心移動などの方法で空間をつくるため、健康な歯を抜かずに歯列矯正を行うことができる点はメリットといえます。

治療方針とわかっていても、歯を抜くことに抵抗がある方も多いでしょう。

非抜歯矯正は、将来のために1本でも多くの歯を残したいと考えている方におすすめの矯正方法です。

治療期間が短い

非抜歯矯正では抜歯する際の通院や、歯を抜いた後の歯茎が治癒するまでの期間がありません。

また、抜歯矯正に比べて移動距離が短い点も、治療期間を短くできる理由として挙げられるでしょう。

少しでも早く歯列を整えたいと思う方におすすめの矯正方法です。

心理的負担が軽減される

矯正期間中は矯正器具によって食事がしにくかったり、歯磨きが十分にできなかったりとストレスが溜まる方も多いでしょう。

非抜歯矯正で歯を抜かないことによって、歯を抜くための通院や、抜いた後の痛みなど心理的負担を少しでも軽減できることはメリットです。

また、抜歯後には大きな空間が空くため、矯正治療が完了するまでは見た目が気になる方もいるでしょう。

非抜歯矯正では抜歯に伴う見た目の変化がないため、心理的負担を軽減できます。

非抜歯矯正のデメリット

非抜歯矯正のデメリットは以下の3つです。

  • スペース確保が難しい
  • 口元が突出する可能性
  • 後戻りのリスクが生じる

スペース確保が難しい

通常、抜歯矯正では第一小臼歯を抜いて6〜7㎜のスペースを作りますが、非抜歯矯正ではこのスペースを別の方法で獲得しなければなりません。

主な方法は、遠心移動や前方拡大、側方拡大、IPRなどです。

しかし、これらの方法を組み合わせても抜歯で得られるスペースと同等のスペースを作ることは難しい場合があります。

口元を大きく引っ込めたい場合や重度の出っ歯の場合は、抜歯によってスペースをつくる必要があるでしょう。

このように、非抜歯矯正を選んだ場合、歯を移動するスペースをつくることが難しい点はデメリットといえます。

口元が前突する可能性

十分な空間がない場合に無理に非抜歯矯正を行うと、入りきらなかった前歯が前に突出する可能性があります。

鼻と顎の先をつないだ線をEラインといい、唇の先がEラインより少し内側におさまっている横顔が理想です。

無理な非抜歯矯正によって口元が前突するとEラインが崩れてしまうため、非抜歯矯正では歯並びだけでなく、口元のシミュレーションも計画的に行わなければなりません。

後戻りのリスクが生じる

歯列矯正後、歯並びが元に戻ることを後戻りといいます。

前提として、非抜歯矯正が後戻りしやすいというわけではありません。

矯正後の後戻りは抜歯矯正でも起こり得る現象です。

ただし、少ない空間に無理やり非抜歯矯正を行うと、後戻りがしやすい傾向があります。

歯列矯正後は後戻り防止のリテーナー装置を欠かさずつけるようにしましょう。

関連記事:出っ歯は自力で矯正できる?自分で治すリスクと正しい治し方

非抜歯矯正で歯を移動させるスペースを作る方法

非抜歯矯正で歯を移動させるスペースをつくる方法は、以下の3つです。

  • 遠心移動
  • IPR
  • 前方拡大・側方拡大

遠心移動

遠心移動とは、奥歯を1本ずつ奥に動かして空間をつくる方法をいいます。

歯を支える骨にアンカースクリューという小さなネジを埋め込み、そのネジを支柱にして歯を後ろに引っ張ることで効率よく歯を動かすことが可能です。

奥歯の後ろに歯を支える骨が何㎜あるかによって獲得できる空間が決まりますが、一般的には最大3㎜程度といわれています。

IPR

IPRとは、歯の側面を削り歯の大きさを小さくすることで空間をつくる方法です。

歯を削るといっても、歯の表面を0.2㎜〜0.5㎜削る程度で、知覚過敏や虫歯のリスクはほとんどありません。           

1本あたりの削る量は少ないですが、数本削ることで空間をつくることができます。

しかし、IPRは抜歯によって得られる空間に比べると範囲は少なく、大きく歯を動かす必要がある症例では適応できません。

前方拡大・側方拡大

前方拡大・側方拡大とは、歯を前に移動させたり歯列の横幅を広げたりすることで空間をつくる方法です。

顎の大きさによって広げられる幅は異なります。

顎の成長が終わっている大人では限界があり、一般的に数㎜程の空間を獲得できます。

上の歯は拡大しやすいですが、下の歯の拡大は難しく、適応症例は限られる場合が多いです。

まとめ

出っ歯は遠心運動やIPR、前方拡大・側方拡大によって空間をつくることができれば非抜歯矯正が可能です。

いずれも獲得できる空間には限界があり、大幅に歯を動かさなければならない症例には適応しません。

非抜歯矯正が適応すれば健康な歯を残すことができたり、心理的負担が軽減したりするメリットがありますが、無理に非抜歯矯正を行うと口元が前突する可能性があります。

そのため、しっかりとした治療計画のもと行う必要があるでしょう。

出っ歯が気になって歯列矯正を考えている方は、ぜひ一度矯正歯科で相談してみてはいかがでしょうか。

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