虫歯

虫歯とは

虫歯とは、細菌から生み出される酸によって歯のミネラル分を溶かし、歯をもろくさせ歯をどんどん侵食してしまう病気のことです。
歯からミネラル分が奪われてしまうことを「脱灰」といいます。
唾液には、歯のミネラル分を補う「再石灰化」という機能がありますが「脱灰」状態が優位になり続けると、虫歯が進行していくことになります。
虫歯は、最終的には歯の根まで進行し歯を抜かなければいけない状態になってしまうこともある恐ろしい病気です。

今は虫歯は治療ではなく予防する時代

虫歯は、進行すると激しい痛みを伴い食事もままならず夜に眠れなくなってしまうことも。また、虫歯が進行すると神経を抜くことになったり歯自体を抜かなければいけなくなってしまうことにもつながります。
そんな虫歯は、なる前に予防するか、初期の段階で食い止めるようにすれば、大事な歯を削ったり神経を抜いたり、痛い思いをしないで済みます。

2011年に実施された国立保健医療科学院の調査によれば、35.7%の人が歯科の定期検診に通っていると言われています。
(引用:国立保健医療科学院 歯科医院への定期受診の関連要因 ~ Web 調査による分析~)
https://www.niph.go.jp/soshiki/koku/oralhealth/juq/jyukyu/docu22/docu22_14.pdf

予防歯科の概念が広がった昨今は、より多くの人が定期検診に通っていると思います。
歯をいつまでも健康になれるよう当院では定期検診の受診を推奨しています。

なるべく削らない虫歯治療

削ってしまった歯は、どんなに綺麗に治療しようが元に戻ることはありません。
そこで当院はなるべく削らない虫歯治療に取り組んでいます。

予防歯科で初期に虫歯を発見する

歯科医院に定期的に通い、虫歯の有無をチェックすることで早期に虫歯を発見することができます。定期検診に通うことで、虫歯になる前に虫歯になるリスクを把握できたり、虫歯ができていても初期の段階で発見できればなるべく削らない治療が可能です。

初期の虫歯の場合、削らずに経過観察する場合もある

初期の虫歯の場合、実は歯磨きの習慣や食生活、歯科医院のフッ素塗布などで削らずに元に戻せる可能性があります。
それは、歯の再石灰化の作用で元に戻すことができるからです。

う蝕(うしょく)検知液の利用

歯を削らないといけなくなった場合、虫歯によって脆くなってしまっている病変箇所を削って保険診療の場合、プラスチックの詰め物を詰めて治療します。
その際に、健康な歯まで削らないように、また病変部位の削り残しがないようにう蝕検知液を利用します。う蝕検知液は、薬剤を塗ることで病変部位を染め出してくれるので、削り残しや削りすぎを防ぐことができます。

極細ドリルやエキスカなど適切な器具を利用

歯を削る器具も細かく削るドリルもあれば、耳かきのように手で削る器具もあったりします。
部位によって丁寧に器具を使い分けることで、削りすぎを防いで、なるべく健康な歯質を残すように心がけています。

なるべく痛くない虫歯治療

予防歯科でなるべく削る量を少なくする

まずそもそも削るという作業がない状態にもっていくことがベストです。そのためには、やはり虫歯の早期発見や予防ができる定期検診にこられるのが一番です。
歯医者で痛くない治療をしたくない方はぜひ、定期検診のご相談をなさってみてください。

痛くない虫歯治療のステップ

痛くない治療のためには、麻酔への取り組みが非常に重要です。
当院では、以下の流れでなるべく痛くない治療を実施しています。

表面麻酔

まず浸潤麻酔をする前に、表面麻酔と呼ばれる麻酔をします。
浸潤麻酔とは、注射した箇所とその周辺の痛みを感じないようにさせる麻酔です。
しかし、その浸潤麻酔の注射が痛いという経験をされた方もいるのではないでしょうか。
事前に表面麻酔をすることで、浸潤麻酔時の痛みをかなり軽減することができます。

麻酔液を肌の温度に温めておく

浸潤麻酔の麻酔液が注射される際の違和感を減らすために、麻酔駅を事前に肌温と同じくらいに温めておきます。
注射時の違和感を減らすことで、より痛みの少ない麻酔治療をすることができます。

浸潤(しんじゅん)麻酔の際に、極細針の使用

当然ながら、麻酔注射の際に刺さる針が細ければ細いほど、痛みが少なくなります。
当院では、なるべく細い極細針を採用しています。

制御された電動麻酔により痛みの少ない麻酔を

麻酔注射時に、電動注射器を利用します。
手動ではなく電動で麻酔液を注射するため、麻酔液の流入スピードを一定にゆっくりすることができます。
圧が高い状態で注射すると痛みに繋がりますので、ゆっくり一定のスピードで注射できるようにしています。

自費の詰め物、被せ物について

虫歯で削る量が多いと、保険のプラスチックの詰め物を使用せず、技工士が作成する詰め物や被せ物の治療をおこないます。
保険のCADCAMで詰め物を作製できるようにはなったのですが、精度がまだ高くないようですので、当院では技工士による技工物を推奨しています。

審美面・機能面で優秀なセラミック治療

セラミックとは、陶材でできた補綴物(失った歯を補うもの)です。陶材とは、いわゆる陶器の素材と同じで、汚れがつきにくく色調を揃えやすい特徴を持ちます。
みなさんも陶器の食器は、汚れがつるっと落ちて着色しにくいという認識はお持ちではないでしょうか。

  • まるで天然の歯のような綺麗な見た目
  • 金属アレルギーでも大丈夫
  • プラークがつきづらく清掃性に優れる
  • 適合性が高く虫歯の再発リスクを下げられる

機能面で優秀な金歯

金歯にみなさんはどのようなイメージでしょうか。
目立ってしまって嫌だと思う方もいらっしゃるかもしれませんが、機能面においては非常に優秀な素材です。
一番機能面にこだわるなら金歯がおすすめです。

  • プラークがつきづらく清掃性に優れる
  • 折れたり割れたりすることがない
  • 歯の固さに近く、噛み合わせる歯を傷つけづらい
  • 適合性が高く虫歯の再発リスクを下げられる
  • 材料劣化による虫歯再発のリスクが低い
  • 金属アレルギーが起こる可能性が低い

虫歯治療のデメリット

虫歯になったら歯医者さんに治してもらったら大丈夫、と思われる方もいるかと思います。しかし虫歯治療で歯を削ることは大きなデメリットを伴います。
しっかり虫歯治療のリスクを把握して、虫歯治療をおこなうことがないように予防に取り組んでもらえたらと思います。

削った歯は、決して元通りにはならない

虫歯治療をして痛みがなくなっても、元通りになっている訳ではありません。
虫歯治療で削ってしまった箇所は、人工物に置き換わっている状態になります。どんなに優れた人工物であったとしても、天然の歯に勝る機能をもつものはございません。

ご自身の歯は、ある意味で一生のパートナーです。
いつまでもご自身の歯で健康的に食事を楽しめる喜びを味わうには、今残っている歯をなるべく削らず抜かない状態を維持することが大切です。

当然、削りたくないからと我慢して歯医者にいかないことは本末転倒です。
今、ご自身の歯に対してどういうアプローチをするべきか、歯のプロである歯科医師や歯科衛生士とコミュニケーションをとりながら適切なケアを実施してもらえたらと思います。

虫歯再発(二次カリエス)のリスクがある

虫歯治療をした場合、病変箇所を削って詰め物をするのですが、天然の歯と詰め物の間に隙間ができてその間で虫歯が進行することがあります。
この現象は、二次カリエスと呼ばれていますが、実は二次カリエスの発生率は非常に高いのです。
二次カリエスが発生・進行すれば、また歯を削らなければいけません。
これが繰り返されると、歯の神経を抜く治療に至る可能性もあります。
歯科医師も二次カリエスが発生しないように丁寧に治療しますが、発生率を0%にすることはできません。
虫歯治療はなるべくしないように予防することが一番です。