公開日:2022年3月30日
以前に治療をした歯の詰め物や被せ物が突然取れてしまったという経験をお持ちの方はおられませんか?虫歯治療をした歯は歯を削り、嚙む機能を取り戻すために詰め物や被せ物を装着しますが、何らかの原因で外れてしまうことがあります。それはなぜでしょうか。
詰め物や被せ物は、虫歯によって悪くなった部分を削り、その部分を補うために必要な処置です。小さな虫歯は削った部分が少なくて済みますが、大きな虫歯の場合、たくさん歯を削る必要があります。そして歯を削ったあとの歯質の残り具合や強度により、その後行われる治療や種類が決まってきます。
歯科用レジンは、削る範囲が少ない、または浅い場合に使われる最も一般的な治療です。小さな穴が開いている、欠けてしまったといった軽度の症例など、幅広い範囲で使用されます。保険適用が一般的ですが、使用できる色調が決まっています。また素材がプラスチックのため年数が経つと汚れを吸着しやすく、自分の歯と詰めたレジンとの境目が分かりやすくなってしまいます。またレジンで埋めた部分が黄ばむなど、審美性にやや問題が出てきます。
インレーとは、やや深い虫歯や広範囲にわたり歯を削った場合に使われる、臼歯部の詰め物です。神経を取るまではいかないですが、神経を取らずに済むギリギリの状態でインレーによる修復を試みます。保険適用の場合は金属となり、下の歯に詰めるとやや目立ってしまいます。自費の素材を選択すると歯の色と馴染み、お口を大きく開けてもインレーが詰めてあるのがほぼ分かりません。
クラウンとは、神経を取った歯や歯をたくさん削り、歯質があまり残っていない歯の修復治療です。インレーは部分的に詰めますが、クラウンは残った歯全体を覆う形状をしています。一本だけのものもあれば、ブリッジと呼ばれる3本以上の繋がったものがあり、削った歯を補強するために欠かせません。
クラウンは保険素材、自費素材を合わせると非常に多くの選択肢があります。最近では強度だけでなく審美性を重視したクラウンの種類が増えており、強さと美しさを兼ね備えた素材を求める方のニーズに合った選択ができます。
歯科治療の技術は日々進化しており、昔とは比べ物にならないくらい技術や素材が進歩しています。
しかしひとつはっきりと明言できることは「どんなに優れた技術や素材をもって治療をしても、天然の歯にはかなわない」ということです。優れた技術や素材でも、ご自身の歯に勝ることはありません。というのも、人工のものはいずれ寿命がきてしまうからです。ある日突然ポロっと取れてしまうこともあります。それでは詰め物や被せ物が取れてしまう理由は何が考えられるのでしょうか。
詰め物や被せ物が取れてしまう最大の原因は、二次カリエスです。二次カリエスとは、虫歯治療をした歯が再び虫歯になることを言います。二次カリエスは、詰め物や被せ物の中で虫歯が再発し、気づかないまま進行してしまいます。虫歯によって穴が開いてくると詰め物や被せ物が合わなくなって浮き上がり、取れそうになる、あるいは突然外れてしまうということが起こります。
二次カリエスは、詰め物や被せ物が取れてしまう最も多い原因です。
詰め物や被せ物を装着してまだそれほど日が経っていないのにいきなり取れてしまった場合、形成がうまくいっていないということが考えられます。
また金属の詰め物の場合、年数が経つとセメントが劣化して流れ出すことで外れてしまいます。
年月が経つごとに、噛み合わせが変化していきます。装着した当初はきちんと合っていても、噛み合わせが変わってくることで歯に加わる負担も変化し、治療をした歯に過剰な負担がかかってしまうことがあります。その結果、詰め物や被せ物が外れるという結果に至ってしまうことがあります。
いきなり詰め物や被せ物が取れてしまうとびっくりするかもしれません。ここで気を付けなければいけないことは、自分で接着剤を使ってくっつけることです。これは絶対に行ってはいけません。
また外れたまま長期間放置することも、歯にとって良い環境ではありません。特にインレーの場合、外れてしまうと穴が開いた状態で過ごすことになります。その穴の中に食べかすや汚れが入り込むと細菌の温床となり、より虫歯が進行して保存できた神経を取らなくてはならなくなってしまうことがあります。
もし詰め物や被せ物が外れてしまったら早急に受診し、適切な処置を受けるように心がけましょう。その際、外れてしまった詰め物や被せ物も一緒に持参して下さい。土台となる歯に問題がない場合や装着してまだ間がないものは、再接着が可能なこともあります。
また保険適用の素材は自費素材のものよりも二次カリエスのリスクが高まります。普段から小まめに定期検診を受けておくことも大切です。
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