公開日:2024年11月28日
歯並びは見た目の印象を大きく左右するものです。
出っ歯を気にされて歯列矯正を検討している方も多いでしょう。
「どんな矯正方法があるんだろう?」
「治療方法によって治療費、期間に違いはあるの?」
歯列矯正には多くの時間と費用がかかる印象があり、なかなか一歩が踏み出せない方もいると思います。
しかし、出っ歯を放置していると見た目のコンプレックスになるだけでなく、口呼吸になりやすくなったり発音が難しくなったりする可能性があります。
そこで今回は以下の内容について解説します。
・出っ歯とは?
・出っ歯の主な原因 ・大人の出っ歯を治す矯正方法 ・出っ歯を放置するリスク |
本記事では出っ歯になる原因や放置することのリスク、治療方法や費用、期間を詳しく解説します。
ぜひ、参考にしてください。
出っ歯は上顎前突(じょうがくぜんとつ)ともいい、上の前歯が大きく前に傾いていたり、上顎全体が前に出ていたりする状態です。
上の前歯が下の前歯よりも5㎜以上前に出ている場合に出っ歯と診断されます。
前歯が2本だけ大きい場合や、少しだけねじれている程度では出っ歯とは診断されません。
また、下顎の大きさが小さい場合や位置が後ろにあることで出っ歯に見える場合もあります。
見た目の悪さはコンプレックスになり、前歯の怪我しやすさや発音がしにくさなどさまざまなデメリットがあるため、早めに改善した方が良いでしょう。
出っ歯の主な原因には以下の3つがあります。
それぞれを詳しく解説します。
遺伝的な要因で出っ歯になる場合があります。
上顎が大きい、下顎が小さい、歯の大きさが大きい、歯が長いなどの骨格や歯の形状の問題は遺伝の影響を受けやすいです。
両親のどちらかが出っ歯の場合は遺伝する可能性があるでしょう。
ただしその割合は低く、多くは日常の悪習慣から出っ歯になる場合が多いようです。
口周りの癖が原因で出っ歯になる場合があります。
爪噛みや指しゃぶり、舌で前歯を押したり、舌を噛んだりする癖がある場合は出っ歯になりやすいでしょう。
前歯に内側から圧がかかることが原因で、前歯が前に突き出します。
自分では気づかないうちに癖になっているかもしれません。
心当たりのある方は出っ歯を悪化させないためにも日頃から気を付ける必要があるでしょう。
舌は本来、上顎に先端が触れるスポットポジションという位置に収まっています。
スポットポジションに収まることで歯にとってさまざまなメリットがあります。
舌や両頬の圧力、唇の力のバランスが整うことで正しい噛み合わせになり、外側の力が加わることで上顎の成長を促す役割があるのです。
しかし、口呼吸の状態が続くと舌の位置が下がってしまい上顎が成長を妨げてしまいます。
その結果歯列が狭くなり、出っ歯になりやすくなってしまいます。
大人の出っ歯を治すためには以下の3つの矯正方法があります。
それぞれ費用と治療期間をわかりやすく解説します。
1本1本の歯にブラケットという装置をつけ、ワイヤーを通して歯を動かす矯正方法をワイヤー矯正といいます。
固定式の矯正装置のため、取り外しはできません。
表側に装置をつける表側矯正と裏側に装置をつける裏側矯正があります。
さまざまな症例に適応するメリットがありますが、取り外しができないため歯磨きが難しく、虫歯や歯周病のリスクが上がる点は大きなデメリットといえるでしょう。
ワイヤー矯正では、表側矯正と裏側矯正で金額や治療期間が異なります。
矯正方法 | 費用 | 治療期間 |
表側矯正 | 60万~130万円 | 1年~3年 |
裏側矯正 | 100万~170万円 | 2年~3年 |
裏側矯正は表側矯正に比べると高度な技術を必要とするため、費用や治療期間が多くかかる傾向です。
マウスピース矯正とは、マウスピースとよばれる樹脂製の装置を使用して行う矯正方法です。
マウスピースは1日20時間以上装着しなければなりません。
決められた装着時間を守らなければ予定通りに治療が進まないため、自己管理が重要になります。
装置が透明で目立ちにくく周りから矯正していると気づかれにくい点や、取り外し可能なため歯磨きがしやすい点がメリットです。
しかし、マウスピース矯正では歯を大きく動かすことができません。
重度の出っ歯や骨格を動かさなければならない症例には適応せず、適応症例が限られる点はデメリットといえるでしょう。
マウスピース矯正の費用と治療期間は以下の通りです。
費用 | 治療期間 |
60万~100万円 | 1年~3年 |
症例や患者さんの協力度によって、費用や治療期間が異なります。
骨格に問題がある場合、外科手術を併用する場合があります。
条件が揃えば保険適応になる点や、外科手術を併用することで顔の輪郭や横顔の印象を大きく改善することができる点はメリットです。
手術は口腔内から行うため顔に傷は残りませんが、全身麻酔で手術を行い1〜2週間の入院が必要となる点、手術後に痛みを伴う点は大きなデメリットといえるでしょう。
外科手術を伴う矯正の場合、保険が適応される場合と適応されない場合で大きく異なります。
費用 | 治療期間 | |
保険適応 | 50万~80万円 | 2年~3年 |
保険適応外 | 200万~300万円 |
自分の症例が保険適応されるか、さまざまな検査をしてみなければわかりません。
ぜひ一度、矯正歯科で相談してみてはいかがでしょうか。
出っ歯を放置すると以下の5つのリスクがあります。
順番に説明します。
出っ歯は口が閉じにくいことから、お口ぽかんの状態になりやすかったり、上唇が盛り上がって見えたりするため見た目のコンプレックスを抱く方も多いでしょう。
無意識に口元を隠す癖や口を開けて笑うことに抵抗があると、人とのコミュニケーションに苦手意識を抱くかもしれません。
出っ歯は上の前歯や上顎が前に突出している状態のため、口が閉じにくく自然と口呼吸になります。
口呼吸は口腔内が乾燥しやすいです。
口腔内が乾燥すると細菌が増えるため、口臭がしたり虫歯や歯周病のリスクが高まったりします。
虫歯と歯周病は歯を失う2大疾患のため、リスクが高まる出っ歯は早めに治した方が良いでしょう。
歯並びと発音は大きく関係しています。
出っ歯は噛み合わせたときに上の歯と下の間にすき間ができます。
すき間があると発音の際に空気が漏れるため、さ行、た行、な行、ら行は特に発音が難しくなるでしょう。
歯列矯正をすると発音が改善される場合が多いです。
しかし、舌の動きに悪い癖がついていた場合は、歯列矯正後も綺麗な発音になるまでトレーニングが必要になる場合があります。
出っ歯の場合、噛み合わせが悪いため咀嚼が難しくなります。
咀嚼が正常にできないと、食べ物を細かくすりつぶすことができないため、胃や腸などの消化器官に負担がかかり消化不良を起こしやすくなります。
消化不良により栄養素をうまく吸収できないと、新たな身体の不調を引き起こすかもしれません。
噛み合わせを治すことは、歯だけではなく身体の調子を整えるためにも必要なことです。
出っ歯は怪我をするリスクが高まります。
歯が前に突出していることが原因でものにぶつかりやすく、転んだときには前歯を強打しやすいです。
前歯を強打すると、歯が欠けたり神経がダメージを受けたりするだけではなく、前歯が唇を傷つける可能性もあり危険です。
特にバスケットボールやサッカーなどの人と接触しやすいスポーツをするときには注意が必要です。
関連記事:出っ歯は自力で矯正できる?自分で治すリスクと正しい治し方
出っ歯を気にして歯列矯正を検討している方のなかには、費用や治療期間が気になってあと一歩が踏み出せない方もいると思います。
出っ歯の放置すると口呼吸になりやすい、咀嚼が困難になる、前歯を怪我しやすいなどさまざまなリスクがあるため、早めの歯列矯正がおすすめです。
矯正方法にはワイヤー矯正、マウスピース矯正、外科手術を伴う矯正があり、症例によって費用や治療期間が異なります。
また、症例によってはマウスピース矯正が適応されなかったり、外科手術が必要になったりする場合もあります。
さまざまな検査を行ったうえで歯科医師とよく相談し、納得のいく矯正方法を選択されると良いでしょう。
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コラム監修者医療法人はぴねす 理事長 野澤修一
福岡歯科大学を卒業後、福岡県・大阪府・兵庫県の歯科医院にて14年間勤務。その後、2014年9月に「はぴねす歯科石橋駅前クリニック(大阪府池田市)」、2018年6月に「緑地公園駅前クリニック(大阪府府中市)」、2020年7月に「川西能勢口駅前クリニック(兵庫県川西市)」を開院。現在は医療法人じはぴねすの理事長として3医院を運営。